かがやきインタビュー(テキスト)
◆☆こんにちは。
◆今からかがやきインタビューを始めます。
今日のゲストは宮本正明氏です。
約30年前から手話通訳者として活躍して来られたベテランの方です。
現在はかがやき手話スクールの校長も務めておられます。
そんな宮本氏にインタビューをしたいと思います。
まずはじめに、自己紹介、仕事の内容についてお話をしていただきたいと思います。
お願いします。
☆私の名前は宮本正明と申します。
フリーの手話通訳として公的派遣では担えない部分の専門的な手話通訳、手話指導を行っています。
それから8月からかがやきグループでかがやき手話スクールが設立されました。
その校長をしています。
よろしくお願いします。
◆ありがとうございます。
それでは次に進みましょう。
仕事の目的意識を聞かせて下さい。
☆手話を通訳するだけではなく、一般の聴者の方たちには耳が聞こえない状態とか理解しにくい部分がありますので、通訳とともに耳が聞こえない状況を説明しながら手話通訳をやっています。
◆なるほどですね。昔ろう者の手話が理解されていない中、宮本さんのような方に助けられてきたのだと思います。
昔、手話がまだ広まっていない時に手話を始めたきっかけというのは何なのですか。
☆30年位前は普通の会社に勤めていました。
電車の中で、たまたま手話…その時は手話という言葉も分からなかったのですが、手話で楽しそうに話している様子を見て、へぇ、声がないのに楽しそうに話しているなぁ、いいなぁと魅力を感じたのがきっかけです。
◆そうなんですか。そこから実際に手話を始めた方法というのは?
☆30年前ですから、今のように手話講習会や手話サークルもまだ少ない、東京だけでも二つ三つしかない時代でした。
たまたま、区報紙を読んでいると、手話話す会というのが載っていて、ああ、あれかもしれないと思って門戸をたたいたのです。
すると、中では手話で話していてそこに参加し、そこに通い始めました。
ろう者が沢山いたけれど聴者は一人か二人だけだったので、隣のろう者が紙に書いてくれて手話を教えてくれました。
それで覚えました。
◆それでは、手話通訳になったきっかけというのは何なんですか。
☆手話を学び始めて一年半ぐらい経ってから、墨田区で東京で初めて手話通訳制度が出来たのです。
その時に手話通訳は誰がやるかという話し合いがあり、やる人が誰もいませんでした。
ろう者協会が大変な思いをして手話通訳制度を設けたのに、それがつぶれるのはもったいないと思い、覚悟を決めて私がやります!と申し込んだのです。
◆そうなんですか。
勇気をもって立候補したのですね。
宮本さんのような勇気を持った方がいらっしゃると、私たちろう者も嬉しいです。
☆ありがとうございます。
◆それでは今まで手話通訳をやってこられて苦労したことはありますか?
☆通訳としての苦労もありますが、手話を始めた頃…6ヶ月後ぐらいにろう者の手話の読み取りが難しくて理解できず、手話をやめようかと思ったこともありましたが、たまたまろう者の友人が一緒になってくれて旅行に行ったり遊びに行ったり、食事に行ったりして、その時にろう者の様子や生活が分かってきて、なるほど、と理解出来るようになりました。
それからろう者の読み取りがスムーズに出来たのです。
そして手話通訳としての苦労ですが、一生懸命通訳をしているにもかかわらず、ろう者が理解出来ないような顔をしていたことがありました。
その時は困ったし、辛いと思いました。
◆つまり、通じなくて辛かったということですか?
☆通じなかったような顔をしていたので辛かったということです。
◆そうですか。
さて、次にいきましょう。
手話通訳をやってきてうれしかったことは何ですか?
☆やっぱり、通訳が終わった後、一生懸命見てくれたろう者が来て、良かった、内容が分かったよ、ありがとうと嬉しそうに言ってくる時の笑顔が一番嬉しいです。
◆そのために通訳をやっていると言ってもいいぐらいですか。
☆そうですね、やっぱり相手の笑顔や喜んでもらえることが一番嬉しいですね。
◆そうなんですか、いいお話ですね。
次にいきましょう。
印象に残ったことは何かありますか?
☆例えば…霊的な現象の話になりますが、それはおいといて手話を学んでいる時、手話を学んで一年ぐらい経った時、ベニスの商人という手話劇をやりました。
有名な劇団四季の協力を得て、九段会館を借りてやりました。
◆へぇ。
☆手話はまだまだだったのですが、劇の手話のセリフを何度も繰り返していくと最後には手話がスムーズに出来るようになった気がしました。
また、霊的現象を話すろう者がいてその通訳を務めたのですが、とても怖い感じがしました。
◆うわぁ、ゾーっとしますね。
☆その現象がはっきり分からなかったため、そのろう者のアパートに行って一緒に泊まったことがあります。
◆宮本さんが?
へぇ。
☆冷や汗が出るような、気味の悪い通訳でした。
◆通訳のために泊まったのですか?
ろう者について色々学ぶためですか。
☆ろう者が話すような現象が起きるのか確認したかったんですよ。
◆ へぇ。
そこまでするのってすごいと思いますけどね。
次の質問に移ります。
手話を通して学んだことは何でしょうか。
☆私は手話通訳を色々やってきたのですが、逆にろう者の方から励まされたり、勇気をもらったりすることが沢山ありました。
昔の自分は、やってみもしないのに、無理だと決め付けたり簡単に諦めてしまったりすることがありましたが、ろう者を見ているととにかく覚悟を決めてやる!という人が多く、自分もがんばらなきゃと思わされたのです。
勇気をもらったような気がします。
感謝したいと思います。
◆ありがとうございます。
私自身も感じているのですが、昔のろう者の方は今のろう者に無いものを持っている気がします。
昔のろう者は、思い切ってやるところや、情熱を持って色々活動したりしていたと感じます。
いい所を見習いたいと思っています。
☆そうですね。
◆私自身もがんばりたいと思います。
さて、将来の目標や夢はありますか?
☆ひとつとして今年8月からかがやきグループの手話スクールを開講しました。
その校長を務めているのですが、その手話スクールは一般の手話スクールと違って手話を必要とする人たちが自由に学べるような内容を用意しております。
たとえば、専門の手話通訳を育てるのとは別に、受付やお客様対応の時に使う簡単な、名前や場所や年などの簡単な手話とかは誰でも覚えられるし、覚えると便利だと思います。
それともうひとつ、聴者同士でも手話を覚えると便利なことがたくさんあると思うのです。
たとえば、ダイビングで手話で話したり、電車の中にいる人がホームにいる人と話そうと思ってもガラスで遮られて聞こえないので手話で話したりなど、そういう場で使えるような手話を広めていけたらいいなと考えています。
◆なるほどですね。
幅広く、誰でも使える手話。
今までは手話というと専門的なイメージが強かったのですが、そうではなくてもっと幅広く使えるよという意味も含まれている感じでしょうか
☆そうですね。
◆はい、分かりました。
色々インタビューさせていただきました。
私の質問に答えて下さってありがとうございました。
いい勉強になりました。
さて、最後にこのかがやきパソコンスクールの新しい手話表現を一緒にやってほしいのです。
いいですか、お願いします。
1、2、3。
◆☆「かがやき」
◆ありがとうございました。
☆ありがとうございました。