かがやきインタビュー(廣川麻子さん)

◆☆こんにちは。
◆かがやき手話ニュース担当のわたなべたかこです。
◆よろしくお願いします。
◆手話ではこう表します。
☆お願いします。
◆今日は、日本ろう者劇団のメンバー、廣川麻子さん(手話ではこう表すらしいです)に来て頂きました。
◆いろいろとインタビューしたいと思います。
☆よろしくお願いします。
◆よろしくお願いします。

◆まず、自己紹介と活動内容をお話して頂きたいと思います。
◆お願いします。
☆私の名前は廣川麻子と申します。
☆日本ろう者劇団の仕事をしています。
☆色々な劇をしています。
◆他にはどんな活動をしていらっしゃいますか。
☆そうですね。
☆ろう者劇団は東京だけでなく、日本各地にも沢山あります。
☆それをまとめる、連絡組織として「全日本ろう者演劇会議」というのがあります。
☆長いのですが、それを略して全聾演というんですね。
☆その理事としてPRしたり新聞を作ったりしています。
☆新聞の名前はデフQといいます。
☆一年に二回発行しておりますが、その制作を担当しています。
◆あっ、ここにあります。
◆この新聞の内容をもう少し詳しく話してもらえますか。
☆日本にある色々な劇団の活動報告だけでなく、今ろう者の映画を作っていますよね。
☆そのインタビューや、聴者の劇に出演したろう俳優の話など、色々な情報が載っています。
☆劇団メンバーでなくても、興味がある人は誰でも読めます。
◆申し込めば読めるということですか。
☆そうです。
☆読むだけの会員も募集しております。
☆詳しくは専用のブログがありますので、ぜひ検索して申し込んでください。
◆内容が濃い感じがしますし、興味のある方は読んでみてください。

◆他にも活動していることがあるんですよね。

☆そうです。
☆三つ目は、ろう者の女優…俳優は手話でこう表しますが女性なので、こう表します。
☆女優だけが集まってお互いに勉強する場を作りたいということで、今年4月から活動を始めました。
☆「クイーンズ」という名前の団体です。
☆クイーンは女王を意味しますよね。
◆そうですね。
☆その女王が沢山いるので、こういうふうに表すのです。
☆上に行きたいという意味で、こんな感じになっているのです。
☆上に行ったところで落ちないように、注意しなきゃいけないですね。
☆その団体で活動をしています。
☆そこでは毎月1、2回集まってワークショップを開いています。
☆プロの聴者の講師を招いて、演劇について色々…ダンスや演劇などを勉強するのです。
☆ワークショップはメンバーだけではもったいないですよね。
☆ですので、他の一般の方を募集して一緒に学ぶのです。
◆参加できるのは女性だけなんですか。
☆クイーンズのメンバーは10人で女性だけなのですが、ワークショップは男女関係なく募集しています。
☆また、ろう者や聴者も関係なく自由に申し込めますが、手話でコミュニケーションをとる場所であり、手話で話してもらう場所なので、手話ができない聴者が来られた場合には手話通訳がついています。
☆安心して勉強できる環境になっています。
◆今までに何度か講師に来ていただいたのですか。
☆そうですね。今年4月から始めたのですが、7人来て頂きました。
◆そうなんですか。プロの方に来て頂いて深い交流をしたり良さそうですね。
◆色々なことを聞いたりできるんですね。

◆劇を始めてから色々な活動をして来られたと思うのですが、そのきっかけは何ですか。
☆小さい時…小学校2年生の時に言葉を覚える教室があったのですが、そこに通っていた子供たちが集まって劇団を作ったのです。
☆名前を「劇団エンジェル」というのですが、それはたぶん言葉を身につけるために作られたと思うのですが…。
そこで演劇に興味を持つようになったのです。
☆それで、高校の時に演劇部に入りました。
☆そして、大学4年の時にたまたま見に行ったろう劇団のちらしの裏にメンバー募集のことが載っていました。
☆それを見て、また劇がやりたいと思って応募したのです。
☆それで、今に至りますね。
◆そうなんですか。
◆どのぐらい前になりますか。
☆劇団に入ったのは15年前ですね。
☆早いものです。
◆もうベテランなのですね。
☆いいえ、まだまだです。

◆劇団を始めてから今までの間に、嬉しかったことや良かったことはありますか。
☆演劇というのは演じるだけでなく、観てくださるお客様がいて成り立つものですよね。
☆お客様に喜んでもらえるし、その喜んでいる顔を見られるのが嬉しいですね。
◆そうなんですか。
◆先日「病は気から」という演劇を観に行ったのですが、
☆ありがとうございます。
◆いえいえ。
◆実はろう者の演劇を観るのはその時が初めてだったんですよ。
◆でも、演劇は全部手話だったし小さな所でやっていたので、よかったんです。
◆出演者と距離が近く感じられて、内容や感情などが伝わってきたので良かったと思います。
☆そうですね。今言っていたように、舞台では普段の生活と違う世界を演じることが出来るんですね。
◆本当ですね。
☆その世界に入って、違う空間を楽しんでもらえるのが大事なことだと思います。
◆本当にそうでした。
☆ありがとうございます。
◆服や美術もいつも見ているのと違っていたので、それもあったのでしょうね。
☆そうですね。

◆さて、次にいきます。
◆今までで大変だったことはありますか。
☆そうですね。
☆やはり、時間との勝負ですよね。
☆公演日は決まっていて延期はできません。
☆でも、もっといいものを作りたいので、工夫しながら練習したり準備したりします。
☆それでバタバタしてしまいますね。
☆徹夜になることもあるんですよ。


☆さっき言っていた、服がはっきりしていて良いというのは、実は手作りなんですよ。
◆すごいですね。
☆手作りなので時間もかかってしまいますね。
☆でも、皆が良いものを作りたいという気持ちが強いので、頑張っています。

☆本番、お客様が来てくださって、お客様の拍手や喜んでいる顔を見るとホッとして、今までの苦労を忘れちゃいますね。
◆大変な分、喜びも大きいのでしょうね。
☆そうですね。
◆ひとつの公演のために色々な準備があると思うのですが、どのぐらい前から準備をするのですか。

☆公演の日程が決まるのは 2ヵ月ぐらい前ですね。
☆でも、細かい準備を始めるのは 一年前からです。
☆1ヵ月前にせまると、毎日が慌しくなります。
◆そうなんですか。
◆演じるだけじゃなくて、美術とか、道具も作らなければならないですよね。
◆それも準備が必要なんですよね。
☆私たちの場合は、外部に注文するのではなく、全部メンバーの手で描いたり作ったりしています。
☆メンバーは、演じるだけでなく作ることもするんですよ。
◆それでは、余計に忙しくなるのでしょうね。
☆そうですね。
◆美術を見ていても、プロが作ったものだと思える位すごいものだと思います。
☆ありがとうございます。
◆良かったです。

◆では、次です。
◆今まで演劇活動をしてきて、印象に残ったことはありますか。
☆そうですね。
☆私は今、演じるだけでなく、制作を色々やっています。
☆制作とは、演じる以外の全部のことをいいます。
☆つまり、チケットを売ったり、宣伝をしたり、スタッフ関係の色々な仕事など細かいことを担っています。
☆3年前、創立25周年記念にフランスのろう者劇団の監督を招いて、公演をしたんですよ。
☆彼の作品で「ハンナ」というのがあるのですが、世界大戦の時、ドイツでユダヤ人の迫害が行われましたよね。
☆あの時に障害者に対しても迫害があったんですよ。
☆その中からろう者の問題を取り上げて演劇を作ったのです。
☆とてもいい内容なんですよ。
☆大きな公演で、宣伝もすごかったんです。
☆人数も多く、お金もかかりました。
☆でも、そのような大きな企画に制作担当として関わり、色々なことが勉強できて楽しかったのです。
☆お客様も皆さん感動していて、やはり戦争はよくないね、という気持ちが表れていたので良かったです。
◆内容がよく、フランスの監督の公演自体が大きかったと思うし、感動も大きいのでしょう。
◆色々なことが学べる場があるのは とても良いことですね。

◆それでは、次です。
◆今まで活動してきて学んだことはありますか。
☆そうですね。
☆劇というのは共同作業なんですね。
☆一人で演じるだけではないんです。
☆一人一人が力を合わせる。
☆俳優や演出家や照明担当、音楽担当、衣装製作、チケット売りなどがいて、そして最後にお客様がいます。
☆彼らが一緒になって一つの作品を作ることが大事なのです。
☆そのために一人一人の気持ちや力などをうまく調整して、関わらせる必要があります。
☆うまくいくために色々考えて調整しなければなりません。

☆そういう面でとても勉強になりましたね。
◆劇団には何人ぐらいいるのですか。
☆今、メンバーは20人ぐらいいます。
◆スタッフの方は?
☆スタッフだけの人もいますし、俳優とスタッフの両方をやっている人もいます。
◆皆で協力しあっているのですね。
☆そうですね。
☆たとえば、照明や音楽担当、舞台監督は他のプロの聴者に頼みます。
☆彼らとの連絡や、打ち合わせもとても大事にしています。
◆廣川さんが全部やっていらっしゃるんですか。
☆そうですね。
◆演じるのと、事務的な仕事全般をやるのとでは、どっちが合っていますか。
☆私は演劇そのものが好きなんです。
☆ですので、演じるのも楽しいですし、作るのも楽しいです。
☆でも、それらを同時にやるのは難しいですね。
◆忙しくなりますもんね。
☆演じるだけでも十分楽しめますし、作る側にいても楽しめますね。
◆色々なことを幅広くやれるということは、才能があるということですね。
◆すごいですね。

◆では、次です。
◆将来の夢や目標などはありますか。
☆劇というのは、生で表現し、それを観るお客様が感動し、元気になる。
☆その素晴らしさをもっと沢山の方に知ってほしいですね。
☆先ほど、わたなべさんが初めて観に来てくれたと言っていましたが、そのようなきっかけをもっと提供していきたいです。
☆どうしたら良くなるかをもっと考えていかなければならないと思います。
☆そのためにも、海外で演劇が進んでいるところに行って学びたいですし、☆それを日本に持ち帰って広められたらいいなと思っています。
☆皆さんがもっと演劇を身近に感じていただけるように、どうしたら良いのか考えています。
◆演劇が進んでいるというのは、特にどの国でしょうか。
☆今はヨーロッパですね。
☆特にフランス、イギリス、ノルウェー、 スウェーデンあたりですね。

◆内容も違うんですか。
☆そうですね。
☆歴史的にも芸術に理解があるところなんですね。
◆そうなんですか。
☆国の援助もありますし。
☆聴者、ろう者関係なく援助しているため、ろう演劇関係も発展しています。
☆日本はまだまだですので、その方法も学びたいですね。
◆日本の場合は、国の援助はまだないんですか。
☆そうですね。
☆厳しいですね。
◆もし援助があればもっと活動できるということですか。
☆そうですね。
☆環境が安定しますね。
☆安心して作れる環境ができると思います。
◆役者も作る人も他の仕事をしないで、演劇に集中できるようになりますよね。
◆色々なことを学び、演劇に生かすというやり方はとても良いと思います。
☆そうですね。
◆がんばってくださいね。
☆ありがとうございます。

◆さて、次です。
◆皆さんに言いたいことやPRなどありますか。
☆先ほどもお話したので繰り返しになってしまいますが、もっともっと演劇を観に来て下さい。
☆映像では分からない、生の魅力があります。
☆演劇を観に来て、一緒に元気になりましょう!
◆本当ですね。

☆次回は、2月に手話狂言の公演があります。
☆狂言の型があって、それがこういう型なのです。
☆来年の2月21日(土)、22日(日)、場所は東京の能楽堂です。
☆日本の伝統的な劇場があるのですが、そこで公演があります。
☆1年に一回公演しているのです。
◆狂言というと、難しいイメージがありますが、どのような芝居なのですか。
☆そうなんですか。
☆実は狂言というのはお笑いに近い芝居なんですよ。
☆15分から20分ぐらいですね。
☆ぜひ観て笑ってほしいですね。
◆衣装も昔のような感じがしますが、実際にはお笑いなんですね。
☆そうです。
☆それに、着物もきれいなんですよ。
☆着物の後ろに色々な絵があって、それも楽しめると思います。
◆着物も作るんですか。
☆いいえ、着物は昔からある古い着物を借りているのですよ。
◆そうなんですか。
◆着物からも雰囲気が伝わってきそうですね。
☆そうですね。

◆ホームページやブログなど、何かありますか。
☆日本ろう者劇団の公式ホームページがあります。
☆名前を入れて検索すれば見つかります。
☆詳しい公演内容も載っていますので、ぜひ見て下さい。
◆クイーンズのサイトもあるのですか。
☆それはまだですね。
☆でも、色々な情報をインターネットで公開したいと思っていますので、よろしくお願いします。
◆サイトがあるともっと良いですね。
☆そうですね。
◆これもサイトがあるんですよね。
☆これは「全日本ろう者演劇会議」という名前を入れて検索すれば出ます。
☆ぜひお願いします。
◆かがやき手話ニュースのホームページにも載せたいと思いますので、ぜひ見てくださいね。
☆ありがとうございます。

◆今日は色々お話していただきました。
◆私自身も色々なことを学ぶことができました。
◆色々お話して下さってありがとうございます。
☆ありがとうございました。
◆最後に、かがやきパソコンスクールの新しい手話がありますので、やっていただきたいのです。
◆こういう手話なんですが、一緒にお願いします。
☆分かりました。
◆始めます。
◆いいですか。
◆1、2、3
◆☆「かがやき!」
◆☆ありがとうございました。